【小倉あん視点】夫婦の約束が心を揺らす―『小さい頃は、神様がいて』
はじめに
フジテレビ木曜10時ドラマ『小さい頃は、神様がいて』で描かれるのは、“ありふれた夫婦”の物語です。けれど、主人公の妻・小倉あん(仲間由紀恵) には、ある「秘密の約束」がありました。
それは――「子どもが二十歳になったら離婚する」という約束。
笑顔の奥で揺れるあんの心を、視聴者は彼女の目を通して追体験することになります。
夫婦の温度差
二人の子どもが成長し、夫・渉(北村有起哉)との時間が戻ってきたはずのあん。
しかし渉は、「昔そんな約束したよな」と冗談めかして笑います。
――でも、あんにとってそれは冗談ではない。
写真立ての家族写真を見つめながら、あんは心の奥で小さくつぶやきます。
「私の人生は、これでよかったのかな。」
→ 視聴者は、家庭の幸せと心の空白の両方を同時に感じ取るでしょう。
もう一度、社会へ
あんは知人の病院で経理を手伝うことに。
久しぶりに社会とつながり、机に向かって数字を追いかける時間。
「私、まだこんな顔ができるんだ」
鏡に映ったスーツ姿の自分を見つめ、あんは小さく笑みを浮かべます。
一方で、渉は「家のことは任せた」と当然のように言う。
あんの胸にはざらついた感情が残ります。
→ ここで視聴者は、“妻”ではなく“一人の女性”としてのあんを強く意識し始めます。
過去の約束が動き出す
子どもが成人し、夫婦の時間が増えるほどに、あんの中で「約束」が現実味を帯びてくる。
渉が「二十歳か、早いな」と語る横で、あんは静かに答えます。
「そうね。」
その表情は笑顔のはずなのに、どこか決意を秘めたものに見える。
夜、一人で日記帳を開くあん。そこに綴られるのは、“約束を守る覚悟”。
視聴者への問いかけ
「家庭を守る妻」として生きてきた20年。
けれどその先に待つのは、自分の人生を取り戻す未来か、それとももう一度夫婦として歩む選択か。
視聴者は、あんの目を通してこう問いかけられるのです。
「あなたなら、どうしますか?」
仲間由紀恵さんの主な出演ドラマ
2000年代前半の大ヒット作
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『TRICK』シリーズ(2000年~)/テレビ朝日
自称天才マジシャン・山田奈緒子役。阿部寛さん演じる上田次郎とのコンビは大人気に。仲間さんの代表作のひとつ。 -
『ごくせん』(2002年~)/日本テレビ
熱血教師・山口久美子(通称ヤンクミ)役。生徒を全力で守る姿が視聴者の心をつかみ、社会現象級のヒットに。
2000年代後半~2010年代
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『功名が辻』(2006年)/NHK大河ドラマ
主演:山内一豊の妻・千代役。芯の強い女性像を丁寧に演じ、高評価を得ました。 -
『花子とアン』(2014年)/NHK朝ドラ
主人公・安東はなの宿命のライバル、葉山蓮子役。モデルは白蓮で、波乱万丈な生き方をドラマチックに表現。
近年のドラマ
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『相棒 season20』(2021年)/テレビ朝日
社美彌子役。過去シーズンから登場しており、ミステリアスな役どころで物語に深みを与えました。 -
『24 JAPAN』(2020年)/テレビ朝日
日本版リメイクで主人公の妻・獅堂六花役。緊迫感のある展開に挑戦。 -
『女王の教室』(2005年)/日本テレビ
冷酷で厳しい教師・阿久津真矢役。「子どもを追い詰める先生」として賛否を呼んだが、実は深い愛情を持つ人物。
仲間由紀恵さんの主な出演映画
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『リング0 バースデイ』(2000年)
恐怖のヒロイン・山村貞子を演じ、ホラー女優としても注目を集める。 -
『ごくせん THE MOVIE』(2009年)
ドラマの大人気シリーズを映画化。仲間さん演じるヤンクミがスクリーンでも大暴れ。 -
『TRICK 劇場版』シリーズ(2002年〜2014年)
ドラマの人気を受けて複数作が映画化。仲間さんのコミカルさとシリアスさを同時に楽しめる代表作。 -
『武士の献立』(2013年)
加賀藩の料理方の妻・舟役。堺雅人さんとの夫婦役で、時代劇ながら温かみのある家庭ドラマを展開。
仲間由紀恵さんの魅力
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幅広い役柄:コメディ(『TRICK』)、学園もの(『ごくせん』)、シリアス(『女王の教室』)、時代劇(『功名が辻』)まで自在。
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親しみやすさと凛とした強さ:明るい笑顔と、影を感じさせる演技の両方ができる稀有な女優。
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長寿シリーズを支える存在感:『ごくせん』『TRICK』など、視聴者に愛されるシリーズを多数持つ。
まとめ
仲間由紀恵さんの柔らかい笑顔と、ふとした沈黙に宿る影。
この二面性が、ドラマ『小さい頃は、神様がいて』を一層リアルで胸に迫る物語にしています。
小倉あんは“普通の妻”でありながら、心の奥に「秘密の決意」を抱く女性。
彼女が下す選択は、きっと多くの視聴者にとって“自分自身の物語”に重なるはずです。
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